勉強で一番難しいことの一つは、勉強を始めることです。「勉強するまではなかなかやる気が出なかったのに、いったんし始めてしまえば大した苦痛でもなかった」というのは、誰もが経験することです。
これは、止まっている車が走り出すときのことを考えれば、すぐに理解できます。止まっている重いものを動き出させるのには、とても大きな力が要ります。しかし、いったん動き出してしまえば、ブレーキを踏まない限り、最小限の力でスルスルと走り続けるものです。
勉強も全く同じです。(1)さっさと始めること。(2)ブレーキを踏まないこと。これだけです。
よって、まずは「勉強を開始する時間」を決めてください。毎日同じ時刻にできれば最も良いですが、学校の時間割や部活動のスケジュールなどでそれが難しければ、曜日ごとに決めても構いません。たとえば、「月曜日は午後6時30分までに夕食を済ませ、7時に勉強を始める」と決めるのです。
そして、その時間になったら、とにかく必ず机に向かってください。例外を一切認めないのがコツです。
ここでひとつ、重要なポイントがあります。それは、「常に、机についたらすぐに勉強を始められるようにしておく」ということです。具体的には、その日勉強する予定のものを、勉強する順番に、前もって全て並べたり重ねたりしておくのです。あわせて、必要な筆記具、ノート、辞書なども全て整理し、椅子に座ったまま手の届くところに配置しておきます。
なぜこれが重要なポイントかというと、こうしておけば、机についてから「何をしようか」と考えたり、勉強に必要なものを探したりする必要が一切なくなり、ロケットスタートを切ることができるからです。
人間は、勉強であれ何であれ、活動を始めれば15分ほどで「作業興奮」が起こり、ブレーキさえ踏まなければ、この興奮は次第に高まっていきます。「調子がでてくる」とはそういうことです。勉強版の「ランナーズ・ハイ」です。これを毎日実現すればよいのです。
だからこそ、上記の「勉強前の準備」の徹底が重要になります。なぜなら、ロケットスタートを可能にするのみならず、ブレーキ要因を予め排除することになるからです。「せっかく一所懸命勉強していたのに、お腹がすいたのでちょっと休憩してお菓子を食べたら、やる気が急にしぼんでしまった」「いい感じで一科目終わったので次に何をしようかと考えていたら、そのうちやる気がなくなって、結局やめてしまった」などの経験は、誰にでもあると思います。踏まなくてもよいブレーキを踏んでしまった結果、「作業興奮」がおさまってしまったわけです。
これらの準備のタイミングは、帰宅直後をお勧めします。着替えたり、学校から持ち帰った荷物を出したりする必要がどの道あるので、勉強の準備もここで一気に終わらせてしまうのが合理的ですし、習慣にもしやすいからです。