ひなみ塾

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子供が犬を飼いたいと言っているのですが、どうすればいいですか。

子供が犬を飼いたいと言っているのですが、どうすればいいですか。

実は、自分自身が子供の頃に犬を飼った際、無責任なことをしてしまい、その結果哀しいお別れをしたことがトラウマになっています。そのことも子供には伝えたのですが、「大丈夫」「私は違う」という答えが返ってきます。どうすれば良いでしょうか。


相談者: 無記名の相談者

「ペットを飼うことの是非」と「トラウマへの対処」の二つに、問題を分けて考えましょう。

「ペットを飼うことの是非」と「トラウマへの対処」の二つに、問題を分けて考えましょう。


まず、「ペットを飼うことの是非」についてですが、アメリカでは「子供が生まれたら、犬を与えなさい」という子育て文化があるそうです。犬の方が人間よりも成長が早く、寿命も短いため、子供は幼少期には犬に導かれて育ち、その後対等なパートナーとなり、最終的には老いた犬の面倒を見て看取ることを通して、子供は人として大切なことを学んでいくというわけです。


情操教育の一つの方法としては、もちろん理解できます。しかし、一歩引いたところから眺めると、子供を教育するために犬の命を「利用している」とも言えるのではないでしょうか。また、ペットと飼い主が対等の立場にないことも無視できません。ペットは飼い主が居なければ餌を食べることすらできませんから、これはペットの命そのものが飼い主の手に委ねられた「究極の依存関係」であると言えます。そのような関係性を、ボクは好みません。よって、ペットを飼うことの教育的意義は理解できますが、ボク個人はペットを飼いません。

 

次に、「トラウマへの対処」ですが、これは記憶の「上書き」によって乗り越えることが可能ではないかと思います。なぜなら、「ペット」と「悲しい」の結びつきには、何の必然性もなく、ある固有の体験によって「たまたま」結びついただけだからです。


たとえば、一度食中毒になったせいで、大好きだったカレーをその後食べられなくなってしまうことがあります。「カレー」と「おいしい」の結びつきが、食中毒という体験によって「上書き」されたわけです。しかし、その後、「別なカレーをおそるおそる食べてみたらやっぱりおいしかった」という体験があれば、記憶は更に上書きされ、再びカレーをおいしく食べられるようになるはずです。


よって、今回新しいペットを飼った場合、心温まる体験を家族で共有することができれば、トラウマの上書きは大いに期待できるのではないかと思います。

塾長のプロフィール

ひなみ塾塾長

黒川裕一(くろかわ ゆういち)

1972年生まれ。熊本市出身。

東京大学法学部卒業後、22歳で渡米。インディ系の映画製作に携わりつつ、1997年にコミュニケーション学修士号を取得(映画専攻)。

2003年、世界最大の脚本コンテストであるサンダンス・NHK国際映像作家賞の最優秀作品賞候補にノミネート。 アメリカ長期滞在の経験を生かし、映画のみならず大学のテキストなど語学関連の書籍も多数執筆。(2022年現在21冊)

2001 年秋、「故郷熊本をもっと元気に」 との願いを込め、 「自ら気づき、 仲間と学び、 社会で動く」 ことのできる人財の育成を目的に活動開始。

2002年には同活動の受け皿として「NPO法人ツムリ30」を設立。英語と映画を教材にした学びの実験室である「電影えいご室」(参加者のべ4000人)などを経て、2004年12月に総合コミュニケーションスクール「ことばの学校」を開校。

限定の講座に、関東、関西地方からの遠距離受講者も多数

。2006年には、「学ぶたのしさ、のびるよろこび、仲間との絆の深まり」を理念とした、「六秒塾」(現「ひなみ塾」)を開講、現在、小学校に入る前から一生学べる全17クラス、280名の塾生を抱え、全てのクラスを自ら教えている。